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学会報告

 


第72回日本臨床眼科学会における特別講演

 

臨眼2018の特別講演を終えて〜感謝の気持ちで一杯

杉山 和久       
 
 2018年10月11日から14日に東京フォーラムで開催された第72回日本臨床眼科学会(臨眼)では、10月12日(金曜日)に特別講演2を担当させていただきました。過去に倉知教授は日本医学会総会の特別講演、米村教授が日本眼科学会の特別講演を担当されましたが、臨眼の特別講演は本教室の歴史上初めてのことであり、大変に名誉ある講演でとても緊張しました。私は「症例から学び研究する緑内障学」と題して50分の講演を全身全霊で行いました。自分としてはとても満足いく講演ができましたが、これもすべて教室員の献身的な努力の賜物であることを同門の先生方にお伝えしたく、特別講演の舞台裏を報告します。
 会長の山本修一教授(千葉大学眼科)から臨眼の特別講演を依頼されたのは、講演の1年前の2017年8月でした。大変光栄なことであり、喜んでお引き受け致しました。どのような講演をするか大変に悩みましたが、その時頭をよぎったのが金沢大学眼科学教室の礎を築かれた高安右人教授です。今から約110年前の1908年の日眼総会で「奇異なる網膜中心血管の変化の1例」を報告され、これが「高安病」と呼ばれる眼を含めた全身疾患の発見の発端となりました。我々が高安病から学んだことは、網膜・脈絡膜の虚血に対する網膜血管の反応形式、病態生理をどう理解するかという、現代でも通用する問題です。そして、症例を丹念に観察し記載するという、臨床医学の原点でした。翻って、1例1例の症例から学ぶことの大切さは現在でも不変であると思います。日常の緑内障診療の現場は、緑内障を勉強する最良の教室であり、患者さんは多くのことを我々に教えてくれる先生です。私がこの30年以上のわたる臨床経験から、緑内障症例から何を学び、研究をして、その結果何を解明できたかを提示することにより、症例から学び研究する「緑内障学」即ち、学問としての緑内障への扉を開き、サイエンスの目をもって緑内障診療をする楽しさと研究の方法論を伝えたいと思いました。そこで選んだテーマが、1.自分が長年研究してきた乳頭出血の臨床的意義について、2.眼圧日内変動のメカニズムとコンタクトレンズセンサーによる新しい検査による最高眼圧値の予測ついて、3.トラべクレクトミーは眼圧を下げるだけでなく眼血流を増加させること、濾過胞感染などの合併症克服への道のり、4.術後中心視野障害など苦い症例を経験した後期緑内障眼への硝子体手術は要注意の4つでした。これらのことは、毎日の約1時間の早朝散歩の時に、兼六園、金沢城を歩きながら、頭の中で構想を練りました。
 スライド作成は、先ず特別講演に関連する各研究の担当者から発表のスライドをいただき、それをもとに講演のストーリーに沿って独自に作成しました。聴衆は初めて聞く先生がほとんどですし、聞いて一瞬で理解してもらわなければいけません。なるべくわかりやすく、遠くの席から見ても見やすいように、字だけのスライドはなるべく避けて、写真、図を多用しました。また、臨眼の国際化に向けてキーワードは日本語と英語を併記しました。内容的には、聴衆に強く訴えるものは何か、そして、講演を聞いて感動して涙をながすくらいの、一世一代の講演をしたいと思いました。この講演はまさに、これまでの教室に在籍した教室員、視能訓練士、学外共同研究者など多く人たちの献身的な努力の賜物です。最後の謝辞に今回の講演に寄与してくれた先生方の名前を載せました。本当に心から感謝しております。特に、東出、新田、大久保、奥田の各先生には大変に助けていただきました。そして、1か月前に学会の予行をしたら、これも解析したいという事項が出てきて、学会直前に東出先生と満保、岡山、竹森の入局1年生(当時)の諸君は不眠不休で頑張ってデータを出してくれました。山下先生はスライドの技術が素晴らしく、私の作成したスライドを綺麗に直してくれました。私の予行を録音して、口述筆記により発表原稿を作成してくれました。教室や関連病院、同門の先生方の御陰で、臨眼特別講演の大役を果たせたことを、心より感謝しております。誠にありがとうございました。