ぶどう膜炎外来
初診日 |
月・水・金の午前(8:30〜10:00頃) |
竹本(裕) |
ぶどう膜は眼球を構築する組織の中でも、虹彩・毛様体・脈絡膜をまとめた呼び名で眼球の中膜を形成しています。
外因的(感染症や外傷など)あるいは内因的(膠原病、糖尿病、血液疾患や悪性腫瘍など)原因でぶどう膜に炎症を生じる疾患群を“ぶどう膜炎”といいます。ぶどう膜炎になると、目がかすむ、虫が飛んでいるように見える(飛蚊症)、視力が低下する、などの症状が現れます。一旦症状が良くなったと思っても、再発・発作が起こりやすいため、適切な治療を続け、炎症がおさまった状態を長く維持することが大切です。
ぶどう膜炎では、原因を確定診断できる症例は全体のおよそ半数程度といわれています。その理由としてはぶどう膜炎が前眼部から後眼部にわたる広範囲で炎症を生じるため、多彩な眼所見を呈し評価することが難しい点にあります。また大半のぶどう膜炎が内因的原因のため多彩な全身症状をも合併しており、眼所見と照らし合わせ総合的に評価する必要があることも理由のひとつです。
当科ぶどう膜外来では大学病院の特殊性を生かして、専門性を有する他科との連携をとりあい、診断はもちろん全身加療を行う際のプランも決定しています。
眼科的には一般診察に加え、確定診断補助のために、蛍光眼底造影検査・光干渉断層撮影・網膜電図検査・採取した眼内液のpolymerase chain reaction(PCR)法などの特殊検査も行っており、病態を総合的に評価しております。
治療法は重症度により異なります。点眼治療での効果が不十分な場合には、離脱困難例や副作用などの問題点から、まずステロイド眼局所注射(後部テノン嚢下注入)を行うようにしており、とくにサルコイドーシスの症例には良好な治療効果を得ております。ステロイドの点眼で副作用が著明な場合には免疫抑制剤の点眼を使用する場合もあります。これらの治療に対しても反応不良である場合には全身合併症検索の結果や患者さんのライフスタイルに合わせてステロイドの内服、免疫抑制剤の内服や皮下注射・点滴、手術加療から治療法を選択していきます。