小児眼科・斜視
小児眼科・斜視弱視外来は、毎週火曜と木曜の午後に後期研修医を含む医師3名と視能訓練士12名でチーム診療をしております。患者さんは石川県内にとどまらず、北陸3県、時には日本全国から受診され、非常に多くの症例に出会うことができます。また、末熟児網膜症などの新生児の診療も適宜行っております。
後期研修医は1年目から小児眼科・斜視外来をローテートし、乳幼児の視機能や斜視に関する学習と経験をします。下記に示すような項目を習得することが目標です。
<基本的な診察法>
①問診のとり方
②保護者とのコミュニケーション、信頼関係の構築
③乳幼児の眼科診察(頭位異常の有無、斜視の有無)
④低出生体重児に負担をかけない眼科診察
<基本的な臨床検査・治療>
①児の年齢に合わせた視力検査法の選択
②検影法による屈折検査
③眼球運動検査
④眼位検査
⑤両眼視機能検査
⑥眼鏡・コンタクトレンズ処方
⑦治療法、術式の選択や術量の決定
<基本的な手技>
①手術顕微鏡の操作
②斜視手術の助手
③3〜4カ月で外斜視の執刀(ベテラン指導医を助手に。1時間30分以内に手術を安全に終わらせることができる)。
④術後患者の抜糸
後期研修医に初歩から丁寧に斜視手術を習得してもらうために、マンツーマンで指導を行っています。現在までほぼ全員の後期研修医が目標を達成してきました。
おわりに
近年、小児科医や産科医不足ばかりが報道等で伝えられますが、小児眼科医はもっと不足しています。小児眼科の初診診察予約が数カ月後になってしまうという現状がそれをものがたっています。さらに、現在日本では周産期医療を充実させるために、NICUの整備を進めています。NICUに携わるのは産科医、小児科医だけではありません。超低出生体重児の生存率が向上し、これに伴い重症末熟児網膜症の発症が増え、小児眼科医の能力の向上と治療設備の充実、そしてなによりも人的資源の充実が早急な課題です。未来ある子どもたちの視機能の発達に微力ながら携わり、その成長をみまもる、このようなやりがいのある小児眼科医の仲間が増えることを期待しております。