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眼瞼・眼窩疾患外来

 
 
眼瞼と眼窩部の形成外科的疾患を扱っています。
 
●眼窩壁骨折
眼部の打撲によって、眼窩(眼球をいれる頭蓋骨の窪み)の骨が折れ、副鼻腔側に眼窩内容が脱出する病態です。スポーツ(野球、サッカー、ラグビーなど)、暴力、転倒などが原因となります。物が二重にみえる複視が問題となるので、その重症度によって手術適応が決まります。手術では骨折部より脱出した眼窩組織を整復し、骨欠損の程度によっては吸収性プレートを留置する場合があります。小児・若年者では外眼筋が骨折部に絞扼される閉鎖型骨折が多く(図:術前と術後)、その場合には自然回復は望めないので早期に手術を行います。
 
 
●子供・若年者の逆さまつ毛:睫毛内反(先天性眼瞼内反)
 

 
東洋人の小児期にみられる「さかまつげ」のほとんどは、眼瞼贅皮が原因となり、眼瞼前葉が過剰で睫毛列が角膜に触れる方向に回旋する睫毛内反です(図)。睫毛内反は年齢とともに改善する場合があるので、軽度の場合には自然消退を待つことができます。一方、矯正視力が不良で弱視が疑われる場合や、流涙、異物感、羞明などの症状が強い場合には手術の適応となります(写真の症例)。
 

 
 

 
 
●壮年期以降の逆さまつ毛:加齢性(退行性)眼瞼内反症
壮年期以降にみられる「さかまつげ」の多くは、瞼板支持組織の弛緩により瞼板ごと眼瞼が内回旋する加齢性眼瞼内反です(写真)。加齢性眼瞼内反は下眼瞼に多く、指で外反させると一時的に内反がなくなりますが、閉瞼と同時に元の内反状態に戻ってしまいます。当院では、加齢性下眼瞼内反症に対しては下眼瞼牽引筋腱膜(lower lid retractor)を全層遊離して短縮する方法短縮法を第一選択としており、9割以上は初回手術で完治します。

 

 
 

 
 
●眼瞼外反症
眼瞼外反症は、いわゆる「あかんべえ」の状態です。先天性のものは稀であり、主なものとして、瞼板支持組織の弛緩による加齢性眼瞼外反、顔面神経麻痺に伴う麻痺性眼瞼外反、外傷や炎症疾患などによる瘢痕性眼瞼外反症などが挙げられます。当科では主として外眼角靭帯弛緩を改善する手術法(Lateral tarsal strip)を行っています。

 
●眼瞼下垂
眼瞼下垂は、上眼瞼が瞳孔(ひとみ)にかかることによって視野が妨げられる病態です。また眠たいような顔貌となるなど整容的にも問題となります。眼瞼下垂は、先天性と退行性に大別できます。先天性では眼瞼を牽引する筋、眼瞼挙筋の筋力(挙筋能)が低下しています。退行性では、眼瞼挙筋の弛緩が原因であり、加齢によるもの、またハードコンタクトレンズ長期装用によるものがあります。当科では、先天性眼瞼下垂に対しては主にゴアテックスシートによるつり上げ法、また退行性に対しては眼瞼挙筋群の短縮術を行っています。